【登辞林】(登記関連用語集)


[さ]

財産分与 離婚に際して、当事者の一方から相手方への請求により行う財産の分配(民法第768条第1項)。当事者間で協議が調わない、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができ、この請求は、離婚後2年を経過した時はすることができない(民法第768条第2項)。婚姻中に夫婦で協力して築いた財産はすべて対象となり、婚姻前から個人が有していた財産は対象とならない。不動産や預貯金など、一方の名義で取得した財産であっても、実質的に夫婦の財産であれば、財産分与の対象となる。財産分与には、慰謝料を含むとする考え方もあるが、別個に請求することもできると解されている。
協議離婚の届出前に財産分与の協議が成立した場合の当該財産分与を原因とする所有権移転登記の原因日付は、協議離婚届出の日とされる(登記研究490号146頁)。
財産分与により財産を取得した者は、社会通念上、相当な額の範囲内であれば、原則、贈与税は課税されない。財産分与により不動産を譲渡した場合、譲渡した者について、分与した時の不動産の時価が譲渡所得として課税の対象となる。

採石権 他人の土地において岩石及び砂利(砂及び玉石を含む。)を採取する権利(採石法(昭和25年12月20日法律第291号)第4条第1項)。採石権は、その内容が地上権及び永小作権による土地の利用を妨げないものに限り、これらの権利の目的となっている土地についても設定可能であるが、その際は地上権者又は永小作権者の承諾を要する(採石法第4条第2項)。採石権は、物権とされ、「地下又は空中を目的とする地上権(区分地上権、民法第269条の2)の規定を除き、民法の地上権の規定(民法第265条〜第269条)が準用される(採石法第4条第3項)。採石権は、登記することができ(不動産登記法第3条第9号)、又、抵当権の目的とすることができる(採石法4条3項、民法369条2項)。存続期間は、20年以内とされ、これより長い期間を定めた時は20年に短縮される(採石法第5条)。この期間は更新することができるが、更新の時から20年を超えることはできない(採石法第6条)。

採草放牧地 農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるもの(農地法第2条第1項)。採草放牧地について、所有権の移転、地上権賃借権等の設定、または移転をする場合は、原則、農業委員会若しくは都道府県知事の許可を要する(農地法3条)。採草放牧地を、農地を除く採草放牧地以外のものにするため、所有権の移転、地上権や賃借権等の設定、または移転をする場合は、原則、都道府県知事又は農林水産大臣の許可を要する(農地法第5条)。不動産登記上の地目に「採草放牧地」はなく、登記上の地目が、山林原野牧場等でも、現況次第で採草放牧地に該当しうる。

(株)埼玉銀行 埼玉県浦和市常盤七丁目4番1号。平成3年7月1日、(株)協和埼玉銀行に合併し解散。

(株)埼玉りそな銀行 埼玉県さいたま市浦和区常盤七丁目4番1号。平成14年8月27日設立。平成15年3月3日、(株)あさひ銀行から会社分割。

財団法人

サイト(site) (1)位置、場所、用地、跡地。
(2)情報のまとまっている場所。情報のまとまり。
(3)インターネット上のWebページのまとまっている場所、Webページのまとまり。Webサイト

再売買の予約 不動産を売却し、将来、売主が買主からその不動産を再度買い受けることを約すること。「買戻しの特約」に類似する機能を果たし、「買戻しの特約」同様、資金調達の手段として利用されることが多い。「買戻し」は売買契約の解除という構成をとるが、「再売買」は、新たな売買契約と構成される。「買戻しの特約」は売買契約と同時にすることを要するが、「再売買の予約」をする時期に制約はない。「買戻しの特約」は対象が不動産とされているが(民法579条)、「再売買の予約」の対象は不動産に限定されない。「買戻し」は、買主が支払った売買代金及び契約費用の提供を要するが、「再売買」における売買代金に制約はなく、又、予約完結権の行使は、代金の提供を要せず、意思表示により行う。「買戻し」の期間は10年を超えることができないが、「再売買の予約」の予約完結権の行使期間に制限はない。ただし、判例は、10年の消滅時効にかかる(民法167条1項)とする。不動産登記においては、「買戻しの特約」が売買による所有権移転登記に付記して登記されるのに対し、「再売買の予約」については、売買予約を原因とする所有権移転請求権仮登記が主登記によりなされる。(→譲渡担保)(→所有権留保)(→非典型担保)(→仮登記担保

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)

裁判官 裁判所を構成する特別職の国家公務員で、裁判手続きにおいて、各事件につき、法律的な判断をする者(国家公務員法(昭和22年10月21日法律第120号)第2条第3項13号)。
最高裁判所の裁判官は、長たる裁判官を最高裁判所長官、その他の裁判官を最高裁判所判事とし、下級裁判所の裁判官は、高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官、その他の裁判官を判事判事補及び簡易裁判所判事とする(裁判所法第5条第1項、第2項)。家庭裁判所における家事審判事件に関する事項を取り扱う裁判官は、家事審判官と呼ばれる(家事審判法第2条)。
裁判官は独立して職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束され、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、国会議員によって組織された弾劾裁判所によらなければ罷免されず、裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことができない(日本国憲法第76条第3項、第78条)。
複数の裁判官で構成する合議体の場合には、そのうちの1人が裁判長となる(裁判所法第9条第3項、第18条第2項、第26条第3項)。

裁判上の離婚 離婚の訴えに基づく家庭裁判所の判決による離婚(民法第770条)。協議離婚と異なり、裁判上の離婚の効力は、判決の確定により生じる。(→調停離婚)(→審判離婚

裁判上の和解 裁判所の手続きにおいて、争いのある当事者がお互い譲歩し、合意すること。裁判上の和解には、当事者の申立により、簡易裁判所において行われる、「起訴前の和解」と、訴訟の継続中に裁判所がする「訴訟上の和解」(民事訴訟法第89条、第264条、第265条、第275条)がある。(→和解)(→示談

裁判所書記官 各裁判所におかれる、裁判所の事件に関する記録、その他の書類の作成及び保管、その他他の法律において定める事務を掌る他、裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて、裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助する裁判所職員(裁判所法第60条第1項〜第3項)。
具体的な職務として、訴訟費用額の確定(民事訴訟法第71条第1項)、送達事務(民事訴訟法第98条第2項)、支払督促の発令・その仮執行宣言(民事訴訟法第382条、第391条第1項)、民事執行手続きの費用の予納を命ずる処分(民事執行法第14条第1項、執行証書以外の債務名義についての執行文の付与(民事執行法第26条第1項)等が挙げられる。

裁判長 複数の裁判官により構成される合議体による裁判において、訴訟指揮、裁判の言渡し、法廷の秩序維持等を行う裁判官(裁判所法第9条第3項、第18条第2項、第26条第3項)。
最高裁判所大法廷では、最高裁判所長官が裁判長となる(最高裁判所裁判事務処理規則第8条)。

債務者不出頭供託 民事執行の弁済金の交付手続き(民事執行法第84条第2項)において、債務者が剰余金の受領に出頭しなかった場合に弁済供託の要件が満たされた時は、裁判所書記官がすることができるとされている供託(平成1年12月22日民四5516号民事局第四課長通知)。(→不出頭供託

財務省 健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とした国の行政機関(財務省設置法(平成11年7月16日法律第95号)第3条)。その所掌事務は、国の予算に関すること、国税に関すること、各省庁の出納に関すること、国債に関すること、日本銀行券に関すること、等多岐にわたる(財務省設置法4条)。本省に地方支分部局として、財務局、税関、沖縄地区税関が置かれ(財務省設置法第12条)、外局として国税庁が置かれる(財務省設置法第18条第1項、国家行政組織法(昭和23年7月10日法律第120号)第3条、別表1)。中央省庁等改革基本法(平成10年6月12日法律第103号)に基づく平成13年の「中央省庁等改革」に伴い大蔵省から改組された。

債務引受 債務の同一性を失わせずに、当該債務を他人に移転させること。債務引受は、民法上、規定が存在しないが、債権譲渡に対応するものとして、古くから判例により認められている。原債務者が債権債務関係から離脱する「免責的債務引受」と、債務引受人と共に、原債務者も引続き債務を負担する「重畳的債務引受(併存的債務引受)」とがある。

債務不履行 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないこと。債務不履行は、その態様により、履行遅滞不完全履行履行不能に分けられる。債務不履行の効果として、損害賠償の請求と、契約の解除がある(民法第415条、第541条〜第543条)。

債務名義 強制執行を行うために必要とされる請求権の存在、内容を証明した、執行力のある公文書。債務名義として、以下のものが規定されている(民事執行法(昭和54年3月30日法律第4号)第22条)。
1.確定判決
2.仮執行宣言付判決
3.抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(決定、命令等)
4.仮執行宣言付支払督促
5.訴訟費用等に関する裁判所書記官の処分
6.執行証書
7.確定した執行判決のある外国裁判所の判決
8.確定した執行決定のある仲裁判断
9.確定判決と同一の効力を有するもの(裁判上の和解調書、民事調停調書、家事調停調書、家事審判等)
強制執行は、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促によるものを除き、執行文の付された債務名義の正本に基づき行われる(民事執行法第25条)。

1 2 3

このページのトップへ

Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved